空調服とは?着用する時の効果や有効範囲について理解しよう!

作業をする際、半袖や薄着ではできない仕事があります。安全性が確保された作業着は厚手になっていますが、熱中症のリスクもあるでしょう。そのような時に役立つのが空調服です。小型ファンが取り付けられていて、暑い時でも快適に作業ができます。

これから、空調服について特徴や着用した時の効果・有効範囲などをご説明しますので、参考にしてみてください。

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空調服とは?

空調服とは、内部に小型ファンが取り付けられている作業着のことです。外気を服の中へ取り入れ、体の表面には風が当たるようにします。その結果、着用している人の汗などを気化し、涼しく過ごせるのです。空調服のメリットは、暑い場所や換気できない場所でも、熱中症のリスクを減らせることでしょう。

エアコンが使えない現場では、空調服が活躍しています。小型ファンが動くと、服の中には毎秒20リットルの外気が入ります。そして、外気は体と服の間を流れていくのです。気化した汗に外気が流れると、気化熱が奪われて、体は冷えます。

そして、湿った暖かい空気は、空調服の袖口や襟元から出ていく仕組みです。

空調服のメカニズムでもある「生理クーラー理論」とは?

空調服が開発された背景には、「生理クーラー理論」があります。人間の脳には体温調整をする生理クーラーがあり、それを利用していることが特徴です。体や皮膚が温度センサーとなり、暑くなると脳から指令を出します。

そして、汗腺がマイクロクーラーとして、汗を出していくのです。汗が出た時に気化熱で体を冷やし、正常な体温の範囲にします。空調服は生理クーラーの範囲を増やすことができ、暑い現場で働いている人の体温調整をサポートしているのです。

空調服の有効範囲とは?

空調服には有効範囲があり、小型ファンの「送風能力」によって、一時間当たりの最大空調能力を「kcal単位」で表示しています。

空調服は外気を取り入れる仕組みのため、外気の温度や湿度によって、最大空調能力も変化することが特徴です。

そこで、最大空調能力などを確認しながら着用すると、最適な状態で使えるでしょう。例えば、大人が歩行する時には約260kcal、大工作業は190kcal~240kcalぐらい産熱されます。

その際、空調服の中でも500kcalタイプを使えば、空調能力はしっかりあると言えるでしょう。空調服の有効範囲は湿度と温度の条件によって、Aゾーン~Eゾーンまであります。「どのぐらいの能力を発揮できるか」を、500kcalと200kcalタイプに分けて表やグラフにまとめていることが特徴です。

一般的に作業で使われるのは500kcalの空調服になります。500kcalの場合、Aゾーン~Cゾーンは空調服の効果を発揮できますが、DゾーンとEゾーンは発揮できない可能性が高いです。また、Aゾーン~Cゾーンでも、作業の種類によって適しているかが分けられています。

空調服を販売するサイトや店舗でも有効範囲のグラフを用意していることが多く、購入する時の目安や参考になるでしょう。

また、最大空調能力を記載する時の基準は、温度は33℃、湿度は50%です。500kcalの空調服を着用した場合、Aゾーンでは「重労働を行う時でも快適に過ごせる」とされています。Bゾーンは「時速5kmでの歩行や大工仕事などの動きが多い仕事でも快適に過ごせる」、Cゾーンは「軽作業時や安静時でも十分に能力を発揮する」です。

Dゾーンは、「空調服を着用してもあまり冷却効果は得られない」、Eゾーンは「空調服を着用しても冷却効果は得られない」になります。200kcalの空調服では、Aゾーンが「時速3kmの歩行などで十分な能力を発揮」、Bゾーンは「軽作業やオフィスワークで十分な能力を発揮」です。

Cゾーンは「あまり効果が得られない」、DゾーンとEゾーンは「効果が得られない」になります。

空調服を着用した時の効果とは?

空調服は、汗と風が合わさることで、体表温度を下げることが特徴です。ただし、冷えすぎることはなく、常に快適な温度を保てます。空調服を着用する効果の一つが、「体力の消耗を抑えられる」です。人間は暑い場所で汗をかくと、その分だけ体力を消耗します。

また、汗が出ると体内の水分も少なくなるため、水分不足になると熱中症にもなりやすいでしょう。空調服を使っていれば、無駄な汗をかかなくなり、体力の消耗も少なくなります。そして、水分不足になる回数も減り、熱中症のリスクも大幅に軽減できるのです。

体温の調整がしやすいと、水分を摂取する回数や量も減ります。大量の汗がでていると、作業着の交換をする手間があります。汗の臭いが気になる場合は、シャツや作業着を1日に複数回交換する人もいるでしょう。空調服を着用していれば、これらの手間も最小限にできることがメリットです。

空調服はすぐに汗を蒸発させるため、汗臭も出にくいとされています。そして、汗疹などの皮膚病になるリスクも減るのです。よって、空調服は作業する人の臭いや汗疹などの不安も取り除いてくれます。空調服を着た時に作業効率が上がりやすいことも、実験で証明されています。

暑い現場で作業をする時には、連続して作業することはできません。一定時間毎に体を冷やしたり、水分補給をしたりして、体を休ませなければならないのです。空調服を着た時でも休息は必要ですが、快適な状態で作業ができるため、次の休息までの時間を延ばせます。

つまり、1日にできる作業の量が増え、作業効率が高くなるのです。例えば、「30分作業して30分休憩」を繰り返しながら行っている現場がありました。空調服を導入したことで、「60分作業をして30分休憩」など、作業時間を増やせたのです。

そして、作業効率も約2倍になったとされています。

空調服はどのような場面で使われているの?

空調服はさまざまな業界や職種で使われています。例えば、「架線金具などのメッキ工程現場」です。部品のメッキ工程では、400℃以上の高温溶液を使用しています。よって、メッキ工程現場は温度や湿度が高いのです。

500kcalの空調服なら作業時に熱がこもるのを防ぎ、作業する人の汗などを利用して、体温調節ができます。また、屋外で作業する人も、空調服を利用することが多いです。具体的には、「電力設備工事現場」「外構工事現場」「イベント設営」「外の警備員」などは、熱中症のリスクが高いとされていました。

そこで、空調服を着用することで、体温を調整できるようになったのです。

空調服の有効範囲を知り、適切なものを着用しよう!

空調服の有効範囲は温度と湿度の条件によって、Aゾーン~Eゾーンに分かれています。作業する現場の状態によって、適切な空調服を選ばないと、意味がありません。よって、空調服を選ぶ時には、利用する環境を考慮するといいでしょう。

空調服は多くの職種で利用されていて、今後も利用者が増えるとされています。これを参考に、空調服について理解してみてください。